泰権連載
4
あれから数日後、あの高台へと足を向けると、君主が一人で草原に寝転がっていた。
「孫策様・・・・・・誰か、供は・・・?」
辺りを見回すが、護衛らしき影すら見えず戸惑う。
「連れてきてない、抜け出して来たからな」
悪びれもせず答える君主に呆れてしまった。
「・・・危険では?」
「ま、並大抵な奴だったら倒せるしな・・・それに」
孫策は勢いをつけて立ち上がった。
崖に立ち見下ろす目線を追い、共に江河の景色を眺めた。
「ここは・・・俺の秘密の場所だからな」
そう言って笑った孫策に、本気で呆れてしまった。





空が赤みを帯びてきた時、周泰は孫策の馬を引き君主を促した。
「・・・孫策様、そろそろ・・・・・・・・・」
「お!もうそんな時間か?」
孫策は手綱を受け取り馬に飛び乗った。
この二回の予想だにしなかった出会いは、とてつもない印象を周泰に与えていた。

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あきゅろす。
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