泰権連載
2
「俺も気にいってんだ」
山野を指し示し、孫策は笑みを浮かべていた。
「全部見渡せるだろ?・・・山も、河も、人も」
「是・・・」
だから好いていると答えた孫策に、周泰は軽く頷き答えた。
孫策はその後も様々な事を周泰に話した。
周泰は軽く相槌をうつ事しか出来なかったが、孫策が気にする様子は無かった。
その内周泰も緊張を解き、江賊の頃の話やその前の周平と二人で旅をした頃の話をした。

「おっと、そろそろ戻らねぇと」
気が付くと陽が傾き、空は赤みを帯びていた。
「帰ろうぜ、周泰」
己の馬へと跨り、孫策は事も無げに声をかけてきた。
不思議な気分だった。
孫策に、面食らってしまった。
もし自分が孫策を殺そうと忍び込んでいる賊だったらどうする気なのだろうかと、柄にも無く心配してしまった。

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