泰権連載
8
孫権は今年元服したばかりだ。
戦の経験をさせるには些か早いかもしれないが、前線ではなく城の守護ならさほど難しくはない。
現に今まで、孫策が遠方に討伐に出かけても城が奇襲された事は一度も無い。
そして付近の賊達は全てとは言わないが、ほぼ討伐済みである。
その為、孫策は城の守りを孫権に任せてみようと決断した。


これは今回の討伐に多くの兵を連れて行く決断を下した一つの要因でもあるが、孫策は孫権に戦を肌で感じて貰いたかった。
孫権は幼い頃から気が弱く、戦には向かなかった。
妹の尚香の方が向いている程だ。
孫家の男の生き方を、孫策は弟に教えようとしていた。
「やれるな?権」
「は、はいッ!!」
孫策の言葉に力強く答えたのは、兄に大人として認められたという嬉しさが強かったからだろう。

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あきゅろす。
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