泰権連載
2
護衛と言っても正式な護衛では無い。
孫策が勝手にそう決めただけで、重鎮達や、ましてや孫権自身もあまり認めてはいない。
元は江賊だというのだから無理もないのだが・・・。
それでも周泰が護衛になり一年以上の時が経っている。
これだけ長く一緒に居て慣れないのも珍しい。


「・・・・・・」
周泰の視線を感じ、孫権は笑みをうかべた。
「周泰殿、先に兄上の処へ行っていてはくれませんか?」
すぐに追いかけるからと付け加えると、周泰は軽く頷き部屋を後にした。


周泰が部屋から出ていき、充分時間が経ったのを見計らって孫権は息を吐いた。
「・・・疲れた」
苦手な人間と毎朝顔を合わせるのは中々に疲れるのだと、最近になって知った。
前の護衛の方が良かったという想いが生まれた事もあったが、兄の選んだ人間を否定する事も出来ずにズルズルと時間が過ぎてきた。

沈黙を作る人間は自分の事を良くは思っていない。
孫権にはそう思えて仕方なかった。

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あきゅろす。
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