泰権連載
10
陽が昇る。
蒋欽は手に汗が滲むのを感じた。
目に見える位置に賊の根城がある。
見張りは数名。
見つからぬように近づくにはどうしたら良いか、それは考えてきた。
数名が背後から奇襲をかける。
長江を下っていく途中で見つけた道だ。
船でないと見えぬ位置なので、山賊共もさほど警戒してはいなかった。
それでも、確実な策は何もなかった。
雄叫び。
賊の背後。
始まった。
そう思った次の瞬間には、蒋欽は駈けていた。
続けて周泰が、その後ろに周平と仲間達が駈ける。
仲間が門を開けるのが見えた。
無我夢中で城に駆け込み、剣を握りしめた。
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