泰権連載
4


無茶な飲み方をしたせいか、頭が痛い。

水でも飲もうと立ち上がった拍子に、バランスを崩した。
「!?」
地面が近付き、痛みを覚悟したが、予想したような痛みは襲ってこず、ただ少し硬い布の感触が孫権の顔を覆っていた。

「・・・大丈夫ですか?」
「しゅ、周泰殿」
顔を上げると、先ほど部屋を出た筈の周泰が孫権の体を支えていた。
「く、訓練は・・・?」
「・・・水を」
朝の訓練に行ったものだと思っていた周泰は、何も言わず水を差しだしてくれた。
「すまない・・・」
飲み込んだ水は冷たく、二日酔いの頭には良く効いた。
「薬です・・・」
周泰は薬を手渡すと部屋に散乱した酒瓶を片付け始めた。
孫権は改めて部屋を見渡し、その荒れ具合に驚く。
己のした事ながら、益々気恥ずかしいばかりだ。
思えば酒に強い父とは違い、孫権は酔う程に酒を飲んだ事が無かった為、己の限界も知らなかった。
だが昨日は緊張したせいもあり、飲みすぎてしまった。
視界には部屋を片付ける周泰の姿。
これでは何の為に呼んだのか判らない。
孫権が自己嫌悪に陥っていると、控えめな音が聞こえ、次いで周平の声が聞こえてきた。

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あきゅろす。
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