泰権連載
3







早朝、腕が引かれる感覚で目が覚めた。

「ん・・・」
寝起きの頭は上手く働かない。
しばらく、天井を見つめたまま呆っとしていると、また腕が引かれる感覚に覚醒した。
「孫権様・・・」
「・・・・・・周泰?」
視線を泳がせると心なしか困った表情を浮かべる周泰と目が合った。
「・・・・・・っ!?」
視線をそのまま下げると、自分が周泰の服を握りしめたままだったと気付く。
先程の引かれる感触は、周泰が動いた事によって起きたものらしい。
「す、すまん・・・」
そっと指を解くと漸く頭が覚醒した。
辺りを見渡せば酷い荒れようで、酒を飲んだ自分のせいだと思い出した。

周泰はそっと部屋を後にした。
将軍として周泰がしなければいけない仕事も多い。
早朝の訓練があるのだろうと孫権は何も言わず、静かに周泰を見送った。

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