泰権連載
2
心臓が破裂しそうなほど大きな音を立てていた。
孫権は去ろうとする周泰の腕を、とっさに掴んだ。
「あ、・・・」
「・・・孫権様?」
握りしめた指が微かに震えた。
離さなければ周泰が動けない・・・が石のように固まった身体は上手く言うことを聞いてはくれない。
「・・・・・・」
しばらくの沈黙の後、周泰は上げかけていた腰を寝台に戻し、孫権の瞼へ手を重ねた。
「傍に居ります・・・」
「っ!」
顔に熱が集まるのが己でも判った。
恥ずかしい。
恥ずかしい。
これではまるで夜一人では眠れぬ子供のようだ。
だが、傍に周泰が居るだけで安心した。
塞がれた視界の暗さと、塞ぐ周泰の掌の暖かさが心地良く、いつの間にか孫権の意識は闇に落ちていた。
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