泰権連載
1


泣き出したい程の悲しみさえも飲み込むような・・・。





それは私を慰める潘紘の満面の笑みとは違い、口の端を少しあげただけの不器用な笑みだった。
他人が見たら笑みと呼べない程の微かなモノだったが、孫権はその笑みが真実だと確信を持って言えるモノだと感じた。


「・・・孫権様?」
いつのまにか涙を引っ込めた私に、周泰は困ったようにもう一度声をかけてきた。
「・・・ッ」
その声にハッと我にかえる。
と同時に酷く恥ずかしくなった。

すがりつく腕も涙が伝う頬も、何より優しく声をかけてくれる周泰の表情が、酷く恥ずかしい。
「しゅ、周泰・・・」
照れから上手く言葉が出てこない。
「はい」
「今日はもう寝る・・・」
御意と低い声が聞こえ、周泰が部屋を後にしようと立ち上がるのが気配で判った。

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