泰権連載
7
「孫権様・・・」
何を泣いているのか判らないが、周泰は出来うる限り優しく孫権の頭を撫でた。
「・・・っ!!」
途端に孫権は驚いた用に顔を上げ、周泰を見つめた。
首に抱きつかれていた為、孫権の顔が近くにあり、その分暗い部屋の中でも表情が良く見て取れた。
虫の声すら聞こえない静寂の中で、孫権は微かな呻き声を洩らした。
「・・・すまない・・・・・・すまない、周泰」
涙を拭う事すらせず、孫権はそっと周泰の頬に触れ、そのままゆっくりと傷を撫でた。
「っ・・・・・・」
その指が左目に触れた時、孫権の表情が暗く濁る。
(あぁ・・・知っておられたか・・・・・・)
その表情で、己の目の事を主は知っているのだと解った。
「周泰、周泰・・・ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい」
酒のせいか、孫権は幼い子供のように泣きじゃくり、ただひたすら周泰に謝罪の言葉を述べた。

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