泰権連載
6

部屋の奥。
寝室に孫権の気配を感じ、暫し思い悩む。
いくら主に呼ばれたからといって、寝室へと足を踏み入れて良いものかを悩んだ。
が、突っ立っていても何も始まらないので、周泰は出来るだけ気配を消さず寝室へと歩み寄った。
出来れば気配で気付いてくれまいかと期待を込めた。
「・・・孫権様」
一声かけ、寝室へ足を踏み入れると、そこは悲惨な状況だった。
「これは・・・・・・」
どうしたことか。
酒瓶が床に散乱し、机の足が壊れて傾き、床には血が落ちている。
賊かとも思ったが、寝台の上に孫権の無事な姿を確認でき安心した。
「孫権様」
「・・・・・・・・・周泰?」
泣いていたのか孫権の声は掠れていた。
「・・・周泰か?」
「・・・はい」
上体を屈め孫権の傍へと近づく。
「!?」
俯せに寝ていた孫権が、急に腕を伸ばして周泰を引っ張ったせいで、周泰は寝台へと崩れ落ちた。
「周泰・・・・・・周泰・・・」
首を絞めるかのようにキツく抱きしめられた。
まるで、子が捨てられまいとすがりつくような強さに、少し困惑する。

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