泰権連載

「・・・悲しいのですね」

泣きそうな、辛そうな顔の孫権の姿に、胸が痛んだ。と同時に気付く。
「兄の左目の事、知っていらっしゃるのですね?」
「・・・・・・」

(・・・・・・そうか、だから)

周平は理解した。
孫権の葛藤、違和感、悩みを。
「兄は、戻ってきます」
「・・・だが失った視力は戻らない」

私のせいで。

微かに震える孫権の声。
「・・・孫権様、どうか一度兄と話して下さい。兄は孫権様を恨んでなどいません。不満も、不安も全て兄にはお伝え下さい」
「周平・・・だが」
「お願い致します」
強く、そう言葉を紡いだ。
孫権様も兄も、語り合えば上手く行くような気がした。
「・・・解った」
頷いた孫権に笑みを浮かべ、周平は全てを兄に委ねた。


END

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あきゅろす。
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