泰権連載
4
その二人にも言えないような悩みを、はたして自分が聞き出す事が出来るのか・・・自信が無かった。
それでも、孫策と周瑜の縋るような態度を見ていると断る事が出来ず、気が付けば首を縦に振っていた。
「・・・お聞きする事が出来るかは判りませんが」
「頼んだぜ!」
「すまないな」
笑みを向ける二人に肩を叩かれ、己自身の軽い緊張を感じ溜め息を吐いてしまった。





「周平?何か忘れたのか?」
己と共に交代で護衛をしている男が、現れた周平に不思議そうな顔を向けてきた。
それは、つい一刻程前に交代したばかりで、交代するには早すぎるからだった。
「いや、孫権様は中に?」
「ああ、孫権様に用か?」
そう問われ、どう答えたら良いものか悩んだ。
「孫策様から少し・・・な」
「孫策様から・・?・・・・まあ入れよ」
しどろもどろと話す周平だったが、男は気にせず部屋の中へ通してくれた。
多分、周平が周泰の弟だから信用してくれているのだろう。

「・・・孫権様?」
周平は出来る限り静かに孫権の名前を呼んだ。
「・・・・・・周平か、何か用か?」
帰ってきた声音は思いの外優しく、少し安心した。

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あきゅろす。
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