泰権連載
10
飲み干す水は冷たく、乾いた喉を潤してくれた。
「そうだ周泰、周平、今から飯食いに行かねぇか?」
「飯、ですか?」
孫策の飾らない言葉に、周平はまだ慣れていない。
本来ならそう気楽に話せる身分でもないので、周平の戸惑いは大きい。
「まさか・・・とは思いますけど」
蒋欽は嫌な予感がしていた。
孫策は食べに“行く”と言ったのだ。
「街まで、な」
やはり・・・と蒋欽の溜め息だけが空をさ迷った。



「やっぱ変じゃねぇか?」
「似合ってますって」
周泰の向かいに座っている孫策は、いつも着ている服では無く蒋欽の昔の服を着ていた。
髪をばらつかせ汚れた質素な服を着た孫策は、最早何処から見ても一介の農夫にしか見えなかった。
「街に行くなら変装ぐらいしませんと」
勿論、何処の誰が暗殺を企てるか判らないからなのだが、孫策はあまり気にしておらず、それが周瑜など重鎮達を悩ましていた。

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