泰権連載
8
しかし、孫策は蒋欽達の思っていた事とは真逆の言葉を口にした。
「護衛は・・・続けろ・・・・・・」
「・・・え?」
ついマヌケな声を出してしまった蒋欽は、驚きその意味を問う。
「別に周泰の為でもお前の為でも無いさ・・・・・・・・・弟の・・・権の為だ」
「孫権様の?」
孫策の瞳には同情の色は見えない。
弟の為という言葉は嘘ではないようだった。
「今、周泰が護衛を辞めると権は・・・自分のせいだと己を責める。自分が潘紘を城に招き入れた事をいつまでも悔やむ」
事件のあらましは蒋欽から聞いていた。
周泰自身は孫権を責めるつもりはなかった。
確かに軍を率いる大将としては軽率であったし、犠牲も多く出た。
が、孫権はまだ若い・・・これを足枷にするのでは無くバネにしてほしい。
そう感じていた。
「権は悔やむ・・・まだ若いからな。だから周泰にはまた護衛に戻ってもらう必要がある」
だから、と孫策はその先の言葉を口にはしなかった。
周泰も何も言わなかった。
役に立つ立たないなど泣き言を言っている場合ではないと、刀を強く握り締めた。

[前][次]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!