泰権連載
7
孫策は左手で周泰に殴りかかる。
急な事ではあったが、避ける事が出来た・・・筈だった。
「!?」
衝撃は周泰の左側で弾けた。
飛ばされる程の衝撃では無かったが、別の衝撃が周泰を襲った。
「やっぱりな」
孫策の言葉に自然と身体に力が入った。
「あんまり見えてねぇな・・・」
「・・・・・・・・・」
言葉では答えなかった。
ただ頷くだけで、その真意には己でさえまだ信じられないという想いがあった。






初めは、久しぶりの光に目が慣れていないだけだと思った。
次に、違和感。
右と左での違いに気付く。
最後に確信を得た。
自分と物との距離間が掴めない。
「・・・そうか」
孫策は静かに、目を閉じた。
「護衛は周平がやり遂げます・・・・・・」
軍を辞めるつもりは無いが、距離間を失った自分が護衛を続けるのは至難の業だった。
蒋欽もうなだれ、孫策の言葉を待った。
蒋欽は周泰の左目の事を、本当なら孫策に気付かれたく無かった。
将として弱点に成りうるそれを、孫策が放っている訳はないと思い、周泰への配慮から黙っていた。

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