泰権連載
3
周泰が荷物を纏め終えると、すぐに外に寝かされた中で一番の重体者が運び込まれてきた。
寝台に乗せられ呻き声を出す男を見届け、歩き出した。


久しぶりに自室の戸を開け放つ。
どうやら周平が定期的に掃除をしていてくれたようで、部屋は思いの外整っていた。
「・・・・・・ふぅ」
思わず溜め息がこぼれた。
どうやら、ここに来るまでの僅かな距離にも関わらず、微かに疲れが出てしまったようだった。
「落ちたな・・・」
椅子へと腰を卸し、己の落ちた体力を嘆いた。
失った体力を取り戻す為にも、早々に訓練に復帰しなければ・・・と、静かに誓いをたてた。

「周泰?」
「・・・・・・」
入り口から、蒋欽は密やかな声で周泰の名を呼んだ。
椅子の上で瞼を下ろしている周泰が、寝ているのか起きているのか判断出来なかったからだ。
「・・・何だ?」
「起きてたのか」
蒋欽は膳を片手に持ち部屋へと入ってきた。
「まだ体力戻ってねぇだろ?飯持ってきてやったんだよ」
周泰の前に差し出された膳には、湯気をたてている美味そうな食事。
その香りを嗅ぎ、今日はまだ何も食べていない事に気づき、膳に手を伸ばした。

[前][次]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!