泰権連載

泣き顔は痛々しく、周泰の困惑をさらに深めた。
どう言えば良いのか・・・泣き止ます為の言葉はすぐには出てこない。
口下手な事が今は口惜しい。
「周泰殿・・・・・・」
困惑した周泰に、孫権が先に言葉を漏らした。
呼吸を整えたのか、口調は思いのほか流暢だった。
「お身体はもう、宜しいので・・・?」
「はい・・・・・・」
まだ左目がどうかは判らない。
それでも大丈夫だとしか、周泰には言えなかった。
孫権の幼い手が周泰の左頬に触れた。
孫権は包帯を見つめ、また泣きそうな表情を浮かべる。
「私などの為に・・・・・・」
周泰は孫権をあやす技量も、慰める言葉も持ち合わせておらず、どうして良いか判らなかった。


END

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あきゅろす。
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