泰権連載
3
「・・・・・・ッ!・・・周泰殿」
「孫権様・・・ご心配を・・・・・・」
不安げな声を出す主を安心させようと、無理に身体を起こそうとした。
「っ・・・まだ寝ていた方が!」
孫権は慌てて周泰を押し留め、兄に報告すると言い残し部屋を後にした。
残された周泰は、起こしかけた身体を再び寝台に沈め、目を閉じた。
慌てて部屋を出ていった孫権の足取りに、安心した。

「周泰!!」
孫権が部屋を出てすぐ、聞き慣れた声が耳につく。
狭い視界を巡らせ、声のした入り口を見やると、蒋欽と周平が立っていた。
「兄上・・・」
周平はホッとした表情を見せ、蒋欽は安堵のため息を吐いた。
蒋欽が、10日もの間意識が無かったのだと教えてくれた。
暫くすると、孫権に連れられ孫策と医師が部屋へと入ってきた。
医師に、回復には時間がかかると説明された。
「・・・なんにせよ、無事で何よりだ」
そう言った孫策は、周泰の傷に障らない程度に肩を叩いた。
一介の武将である自分の身を案じる孫策の姿に、器の大きさを見た気がした。

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