08
何でこんなことになってしまっているんだろう。そう、ちょっとした好奇心だった。なのに、こんなことになるなんて。
酔い潰れていた皆が今は全員起き私を見上げていた。そう、私は風になった。体が透けている。風が吹けばこのままどこかに飛ばされてしまいそう。
最初は変な感じで、ただ本当に違和感を感じているだけで少し感動もしていたぐらいだ。
でも今は違う。全身で恐怖を感じている。
能力がコントロールできない。体が元に戻らない。焦っているうちに、どんどん体が透けて行って気付いたら、こんな高くまで浮いていた。
下を見下ろせば、あんなに小さくモビーが見える。怖い、このまま風になって飛ばされてしまうの?
「た、助けて!!助けて!!助けて!!助けて!!誰かぁあああああああ」
「first name!!」
視界が鮮やかな青に染まる。
「ま、マルコ?」
「何やってるんだよぃ!!」
「ど、どうしよう!!能力が、能力がっ!!」
「落ち着けよぃ。大丈夫だ。それは、お前の能力だろぃ?つまりfirst name自身だ。お前が落ち着かねーでどうする」
「う、うん」
私は言われた通りに落ち着こうと深く深呼吸をした。続けているうちに徐々に体が変化していく。
「も、戻った」
ホッとした束の間、風じゃなくなった私はもちろん重力に逆らえないわけで。
「き、きゃああああああ」
落ちた。
そして呆れて溜め息を吐いたマルコが直ぐ様下降し私をキャッチした。
「うっ、うー、マルゴだいじょう。ありがどうございまず」
「分かったから、鼻水たらすなよぃ」
「あい」
あー、怖かった。次はもっと慎重にやろう。てか、飛ぶ時はマルコに見張りしてもらおう。
我が家に戻れば、お兄ちゃん達が頭を撫でてくれた。もみくちゃにされながらも辿り着いたパパに抱き着いた。
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