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06



その風は私をいつも優しく包み込んでくれている風だった。


モビーに襲いかかる風を追い返すかのように向かっていく風。あぁ、そうか。分かった私の能力。


するりと腕の中から抜ける。その人が何か言っていたけど風の音に掻き消されて私の耳まで届かない。


スッと手を前に出せば、それに応えるように優しい風が私の髪を靡かせ通り過ぎていく。



「ごめんね。ちょっとそこ通してね」



自然と出てきた言葉。


バンダナが空高く飛んだ。


ふわりと微笑めばいつもと変わらぬ陽気に戻っていた。



「あぁ、いい天気」



眩しい太陽に先ほどまでの嵐が嘘のようだった。



「first name」


「あ、マルコ」


「隊長だよぃ」


「おっと失礼。マルコ隊長……あ!」



グリーン!!



「ぐぐぐぐグリーンはっ!?飛ばされてるの見て私っ!!」


「first nameちゃん、僕なら大丈夫だよ」


「よ、よかったー」



ふにゃーと体が崩れ落ちる。



「おいおい、大丈夫かよぃ」


「う、何かすごくだるい」


「まだ能力慣れしてねーからな。よいっと」


「うぎゃっ!」



腰が抜けて立てない私を軽々と肩に担いだ。



「ちょっ、ちょっと!」


「うるせーよぃ、親父んとこ行くぞ」


「白ひげのところ?」


「あぁ」


「な、何故?」


「報告」



あぁ、報告ね。


だからって担がれるのは恥ずかしい。きっと下ろしてと言っても下ろしてくれないだろうからクルーたちの痛い視線から逃れるように両手で顔を覆った。



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