07
意識があるのに自分の体の感覚は無く、まるで傍観者のような視覚に、これが夢だと分かった。
昔から、夢が夢だと分かりやすい体質の私。
長年の経験で自分で夢から覚める方法を会得した私は嫌な夢だったら無理矢理起きれば良いかと軽く考え流れに身を任せた。
「今の世界が嫌いか?」
突然聞こえてきた男とも女ともとりずらい声に前を見据えれば神々しい光に目を潜めた。
「今の世界が嫌いか?」
もう一度投げられた問いに私は違和感を感じた。
嫌い?この世界が?まさか……嫌いも何も……。
「興味ない」
さらりと出た抑揚のない私の言葉に、光で顔が見えない相手が悲しい表情をしたのが何故だか分かった。
「そうか、君も……否、君の瞳はこの世界を映していないようだな」
「……」
「君は違う世界に逝きたいかい?」
「は?」
「君は、どこに逝きたい?」
「私は……別に何処にも逝きたくない。ただ……」
私の次の言葉を待っているその人(?)が顔を顰めた感じがした。
言ってしまって良いのか戸惑った私の言葉は空気を吐くかのように儚く消えた。
「この世界はいらない」
その人は、より一層哀しげに顔を歪め神々しい光が少しだけ弱々しくなった気がした。
意識が薄れていく中、あー……もしかして神様だったのかな?と私は呑気な考えが頭を過ぎった。
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