08
さて、やってきました一ヶ月振りの島。どうやら漁業が盛んなようで港は賑わっています。
一度やってみたかった「しーまーがーみーえーたーぞー」をやらしてもらったら声が小さすぎて爆笑された。
「ギャハハハ。お前、まじで女みてーだな。声高すぎ」
だって女ですもん。声変わりなんてしてないですから。言っとくけど私、女じゃないなんて今まで一度も否定したことないからね。
「レッド、いつまでも笑ってないでいーから。僕たちも早く島下りようよ」
「あ?ダメに決まってんだろ」
「へ?」
「今日の特訓やってねーじゃーねーか」
『はぁ!?』
レッドの言葉に私だけでなくグリーンとイエローも、ありえないという顔をした。
変なところで真面目なレッド。鍛えてもらっている身としては何も言えない。むしろ申し訳なくなってくる。
「さーて、まずは俺と組み手な」
嬉しそうに笑ったレッドに私たちは、あんぐりと口をあけたまま、しばらく放心状態だった。
イエローに、ぐちぐちねちねち文句を言われたのは言わずもがな。
太陽が真上に登った頃、私は甲板で倒れていた。頬を優しく撫でる風が心地良い。額には冷たいタオルが乗っけられていた。
あー、久しぶりに失神したんだな。
「あ、起きた?」
「……グリーン、顔近い」
ドアップにも耐えられるプリティフェイスなんだけどね。私の心臓がもたないのよ。
体を起こすとレッドとイエローも私と同じように倒れていた。私と違って気絶じゃなくて寝てるだけだけど。しばらくボーッとしているとガヤガヤしてきた。
どうやら島に下りていた人が戻って来たらしい。
「おー今日もやってんなー」
「ちっとは、強くなったか?」
「何だ、また気絶したのか?」
「何も今日までやんなくたっていいのになー」
「今度俺が手合わせしてやるよ」
荷物を抱えたクルーたちが擦れ違いざまに声を掛けてくる。ほんと良い人ばかりだな。
「そろそろ、お前らも飯にしたらどうだ?この島賑わってて良いぞ」
そう言われると島に下りたくウズウズしてきた。それはグリーンも同じだったみたいで顔を見合わせた私たちは、だらしなく寝ている二人に襲いかかった。
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