07
ななちゃん、生きてるかな。不意に思い出した彼女の顔。
どこの船にいるんだろう。確か、ななちゃんの好きキャラはエースとシャンクスとサンジとルーキーのローに……浮気症だったからなー、私と違って。しかも定番キャラ。そういう意味でなら私の方がヲタクだったと思う。
まぁ、ルフィのとことか、ルーキーのところに飛ばされてたら可哀想だな。敵襲のない白ひげに拾われた私は運が良かった、うん。
今日も特訓の疲れからか考えているうちに、あっと言う間に睡魔に引きずり込まれた。
そして白の世界。
うわ、久々だな。そー言えば私、神様にバイバイしたんじゃなかったっけ?
相変わらずの眩しさに顔を歪めながら先を見据える。
「first name、久しいな」
「……」
「君は強さを求めたか。あの子は愛を求めた」
「あの子?」
誰のことを言っているのか分かる。きっと、否絶体ななちゃんのことだ。
「その通り。彼女が君をこの世界に呼んだ」
「え、は?ちょっと待って。呼んだって何」
「彼女は迷い子に選ばれた。そして彼女が君のトリップを願ったんだ。そして私がそれを叶えた」
願った?つまり、つまり、私がこの世界にきたのは、ななちゃんのせい?あの子のせいで私は……。
見つめる両手は赤い。
私は、あの子せいで人殺しになったんだ。
あの子のせいで、あの子の……せい?おかげ?
今の生活は、どう考えたって向こう世界よりも充実しているし、それに……。
三人の親友、マルコ、サッチ、白ひげ達の顔が浮かぶ。
「あの子のおかげ……か」
眩しい光が柔らかくなった。
「ねぇ、ななちゃんに会える?」
「二人の運命が交わっているなら」
「なんだそれ、また運命かよ」
いい加減にしてくれ。それに……。
「私だって愛が欲しい」
小さく呟いた私の声を神は叶えてくれるのだろうか。
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