09
「すいませーん、一番隊からのお届け物でーす」
「お?お前新人だなチビ」
かちんときた初対面である16番隊の船員に冷やかな視線を送れば、バンダナの上からぐしゃぐしゃ頭を撫でられた。
う、前が見えない。てか、どんだけ馴れ馴れしいんだこいつ。
「わりぃな、その資料は直接隊長に渡してくれ」
「え、」
「じゃ、隊長は突き当たりの自室にいるから気を付けろよ」
そう言って満面の笑みを浮かべたオッサンは扉を閉めた。
な、なんだこの虚しさというか喪失感というか、もやもやするモノはっ。
てか、気を付けろって気を付けろって……非常に行きたくないのですが。
恐る恐るノックをすれば、中から低い声で入れと言われ、私は暗い部屋を覗き込むように、そろりと扉を引いた。
「失礼しまーs……」
16番隊隊長、イゾウ。その人の姿は想像できていた。イゾウという名から男であるが日本の伝統衣装である女物の着物を纏い、長い艶のある黒髪を簪で纏め上げている、はずだった。
絶句、と同時に私の顔と体は急激に熱くなった。
イゾウは着替えの途中だったのか、はたまた情事の後だったのか、はだけた着物の胸元からは逞しい胸板が覗き、垂らされた髪から見える首筋が色気を倍増させていた。
「し、しししし失礼しましたぁあああああ」
ばっちり凝視してしまった私は我に返ると慌てて扉を閉めようとしたが一歩遅かった。
がっちり掴(捕)まった腕を見下ろし、そしてイゾウを見上げる。
「なーに逃げようとしてんだ、お前」
ニヤリと口の端を上げてニヒルに笑ったその顔も鼻血もんだった。
エースのいない白ひげ海賊団で目の保養ができるとは思ってなかった。(←ヒドイ
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