05
「ねー、ねー、」
『……』
「おーい、」
『……』
「む、シカトしてんなよー」
ただいま私、信号機トリオにプチはぶりされています。
軽く傷付きます。嘘です。けっこうキてます。
「せっかく例のアレ買ってきたのになー」
「まじかっ!」
食い付いてきたのは脳内をエロという二文字で腐らせているイエロー。
すかさずレッドから後頭部を叩かれている。
「あほかっ!」
「だってエロ本がー」
「いいかっ!こいつがしたことを思い出せっ!」
がっちり両肩を掴まれ真剣そのものの瞳で諭されたイエローは、ハッと我に返ったように両手で口を覆った。
うわっ、仕草がオカマっぽい。
私何かしたか?いやいや、全然覚えがないのだが。むしろ例のアレ買ってきたんだから感謝して頂きたい。
「もーいー」
ふいっと背を向けた私は甲板から船内へと続く扉へと向かった。
「あ、first nameどこ行くの?」
「マルコにトリオに苛められたってチクッてくる」
呼び止めるグリーンの言葉に振り向きもせず応えれば、がしっと力のこもった手で掴まれた。
「話す。話すよ、ぜーんぶ」
「ちょっ!てめっ、グリーンずりーぞっ!」
「抜け駆けは許さんっ!」
可愛く笑うグリーンに内心ガッツポーズを決めるが赤と黄の言い分には苦笑した。
「first nameがね、昨日看護師の中でも人気No.1のエリザを抱き締めてたからレッドとイエローは拗ねちゃったんだ」
「は?」
あほらし。てか、抱き締めてたんじゃなくて、抱き締められてたんだけど……。
「グリーン!お前だって、新入りのくせに隊長にも気に入られてるとか調子乗ってるよね。って言ってたじゃねーかっ!」
「ちょっ!レッド!」
グリーン、君ってば腹黒キャラだったのか。
白けた視線を送れば慌ててすがってきたグリーン。
正直、燃える。訂正、萌える。
平和な船出に乾杯。
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