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03



がやがやする教室で、ぽつんと独り机に伏せている私。


授業開始を知らせるチャイムは、もう20分も前に鳴ったというのに姿を現さない講師にクラスメート達は席を立ち友達ごっこをするために集まって携帯片手に、耳障りな声を発していた。


その声を防音するために、むしろ馬鹿な人間達と私の世界を遮断するためにベッドホンを嵌めて音漏れなんか気にせずに音量を最大限に上げていた。


流れてくる音は、そろそろ暑くなった季節にお似合いのジャパレゲ。


テンションが上がるはずのそれと反比例するかのように私のテンションは激下がり。


無意識に出る苛立ちの象徴とも言える貧乏揺すりを抑えることもせず、ただ流れてくるジャパレゲに耳を傾け私は時間が過ぎて行くのを待った。


帰りたいと思う、わざわざつまらない講義を聴きに来てやったのに当の本人が来ないとは……ふざけんな。


しかし、ここで席を立ったりしてみれば馬鹿な女達に目を付けられてしまう。そんなことは決してあってはならない、今後の私の生活に非常に支障をきたしてしまう。


だから我慢だ、と私は自分自身に言いつけて、ぐっと指に力を込めた。


瞬間、肩を叩かれた私は敏感に反応し顔を挙げた。


警戒して硬くなった体が相手を認識した直後ゆるゆると解けていった。



「first nameちゃん、寝てた?」


「ななちゃんか……寝てなかったけど、びびった」


「あははっ、ごめんね」



私の肩を叩いたのはメガネに三つ編みおさげの腐女子こと、ななちゃんだった。



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