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すっかり自分のテリトリーとなった医務室に戻ればマルコが気まずそうに質問してきた。



「お前、女が怖いのか?」


「あ?なんだそりゃ」



船医もまざってきて、どうやらこの話題から逃げることはできないようだ。



「怖いって言ったら怖んですけど、何て言うか嫌い?関わりたくない?みたいな」


「女が嫌いってありえねぇ」


「そりゃー、船医さんは男だもん。女、大好物じゃないっすか」


「大好物って……」


「それに私、女にかぎってじゃないし」


「あぁ?男も嫌いなのかよい?」


「男とか女とか関係なくて……人間の目がいやだ」



人を人として見ない目は酷く冷たい。


個性を敵としかみれない人間たちの目は、自分とは違う人間を見る目は、何の色も纏っていない無。


あー、人間なんて嫌いだ。



「あ、そう言えば島には、いつ到着するんですか?」


「明日の昼には着くよい。着いたら生活用品買ってこい。親父が金くれるだろ」



お金頂けるのか、それはありがたい。服やら下着やら買わねばならないし、あー……ついでに髪も切るか。


ずるずる伸ばしていた染めたことのない真っ黒な髪を一摘まみして思う。


唯一女らしい部分だったが海賊船に乗るんだったら必要ないだろ、むしろ男の方が楽か……。



「first name、体調は平気か?」


「うん、大丈夫っす」



船医さんの厚い介抱のお陰ですっかり吐き気もだるさもなくなりました。


てか、だるいのは常にだし、吐き気は精神的なものだしー。




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