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07



私の頭なんて一瞬で潰してしまうことができるであろう大きなその手は優しく労るように頭を撫でる。



「知ってるさ。女は男の何倍も質が悪ぃ」


「……」


「だがな、俺のナースにそんな奴ぁいねぇよ」


「……」


「ナースも家族だ。家族が家族を傷付ける訳ねぇだろぉが」



その言葉に、ギュッと胸が締め付けられた。


家族が家族を傷付けない、そんなこと保証できない。


私の世界には自分の子供を傷付ける親が沢山いる。


自分の子供をいらないと言い空気のように扱い面倒になったら捨てる、殺すんだ。


家族だからって安心できない、家族なんて所詮弱い絆だ。


でも、この世界は違うのかな?


この船は違うのかな?


この人がいれば、白ひげが親父なら大丈夫なのかな?



「グラララララ、焦ることはねぇよ。少しずつ慣れていきゃあ良い」


「……ん」



少しずつか……相当時間が掛かるような気がする。


家族で笑った記憶なんて一個もない、自分の待遇が可哀想なんて馬鹿な悲劇のヒロインみたいに嘆いたりなんかしないけど運が悪かったとは思う。


そんなに産まれてきてほしくなかったなら堕ろせば良かったのに。


そんなに私が憎いなら殺してしまえば良かったのに。


見えない鎖で私を繋いでおく必要なんてどこにあったの?私は必要なかったんでしょ?あなた達が欲しかったのは私じゃなかったんでしょ?


何度も何度も壊れそうな心を、なんとか抑え付けていたけれど、あなた達が私を必要としなかったように私もあなた達を、あの世界を必要としてなかったみたい。


壊れちゃえば良かったんだ。


そうしたら、もっと早くあの世界から抜け出せたんだ。


だって私は人を殺せるんだもん。


手に残る感触が忘れられない。


世界を捨てた罪は重い、代償として失ったモノは耐え難い罰。


まだ私は気付いていない。



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あきゅろす。
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