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04



近い近い近い、何故そんなにも顔を近付けるのでしょーかお姉さま。


近付いてくるナースにマルコに縋り付きたい思いを抑え(縋り付いたりなんかしたら殺される嫌われる。なんたってマルコは一番隊隊長だし)足を踏ん張った。



「エリザ、first nameに服とか……あーなんだ、その……」


「お任せ下さい」


「おう、エリザは物分かり良くて助かる。頼むよい」



背を押され、ずいっと前に出された。


え、え、ちょっ。



「さぁ、おいでfirst nameちゃん。取り合えず着替えましょうね」


「い、いいですっ。大丈夫なんで……」



両腕を前に突っ張り出してナースとの距離をとった。



「遠慮しなくていいのよ」



遠慮とかじゃないから、関わりたくないだけだから、ほんとまじで近付かないで。



「ま、マルコ……隊長」



助けて。



「なんだよい。俺も忙しいんだ終わったら自分で医務室帰れ」


「え、」



や、やだ行かないで。


無惨にも伸ばした手は届くことがなく扉は目の前にで閉められた。


振り返るのが怖い、女は男がいなくなると豹変するのだ。



「first nameちゃん」


「ご、ごめんなさい」



謝り終える前に私の手は扉の取っ手を掴み一目散に部屋から飛び出していた。


エリザ一人ならまだ何とかなった。でも、あの部屋には他にも何人かナースがいて私を見ていた。


人の視線が怖いなんて久し振りの感覚に酷く動揺した。


汗ばんだ手で拳を握りひたすら足を動かす。どうやら誰かが追ってくる気配は無いみたいだ。


ゆるゆりと歩くスピードを落とした時、気付いた。


ここは何処だ?


同じ風景ばかりが続く広い船内、完璧に私は迷子になってしまった。


知らない世界で知らない海で知らない船の上で独りぼっち。


天を仰いでも空がないから余計に虚しくなった。



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