03
「行かなければ駄目でしょーか」
「あ?」
おろおろと視線を外しながら恐る恐る訴えてみれば眉間に皺を寄せられた。
「何でだよい」
「……」
「理由がないなら却下だ」
ポッケに両手を突っ込み歩き始めたマルコの背中を見つめて見つめて見つめて角を曲がり姿が消えた。
ま、迷子はごめんだ。
私は慌ててマルコの後を追い掛けた。
「あ、」
「遅ぇよい」
角を曲がった所で壁を背に腕を組み待ってくれていたらしいマルコ。
や、優しいじゃないか。
「す、すんません」
仕方がない、なるべく極力最低限、視線を合わせないようにずーっと俯いていようじゃないか。
「おい、入るよい」
中から久しぶりに聞いたトーンの高い女女した声の返事が返ってきた。
背筋がぞっとして鳥肌が立った腕をこすりマルコの後に続いた。
「あらマルコ隊長いかがなさったんです?」
「あぁ、俺じゃねぇ。こいつだよい」
背中に隠れていた私は引き摺り出され美しいナース様たちの前に晒されてしまった。
う、眩しい!なんだっ!?
咄嗟に俯いた私の視界に入るのは、ヒョウ柄のブーツ。ブーツから色気が見えるのは何故でしょう。
「この子が医務室で寵ってるって噂の女の子ね」
「ヒッ!」
ずいっと顔を覗き込まれて小さな悲鳴と共に後退りした。
「怖がられちゃったわ」
「近付き過ぎだよい。お前も何してんだい……さっき親父の前じゃ堂々としてたくせによい」
「そうなんですの?それはある意味凄いですわね」
こわいこわいこわい。
てか、お姉さまの色気にやられて鼻血でそうなのですが。
マルコとナースが話している間、俯いたまま鼻血がでないように必死に鼻頭をつまんでいた。
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