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04



毛先を弄びながら美味しそうな果物を品定めする。慎重に選らばなければならない。悪魔の実に当たるは腐った物を引き当てるは、私は果物運が良くない。



「よし、おばちゃん。これ下さい」



みずみずしい果物を一つ掴み食べ歩きしながら市場を、ふらふら歩く。



「あ」



人混みの中に見知った人物を見つけた。その背中を追い掛けて声を掛ける。



「店長」


「え、あ!first nameちゃん!?」


「どうも、お久し振りです」


「いやぁ、なんか雰囲気変わっちゃって分からなかったよ」


「え、そうですか?」



見下ろす自分の姿は、鍛練の合間だということもありみずぼらしい。つい先日、彼に言われた言葉を思いだし無意識に肩を下ろした。



「何だか女の子らしくなっちゃったな」


「え?」



聞き間違いだろうか。女の子らしく?この格好のどこが?



「髪が伸びたからかな?それとも、恋?」


「髪……」



そういえば今も無意識に髪を弄っていた。こんなに伸ばしたの久しぶりかも。



「じゃあ、first nameちゃん。今度飲みにでもおいでよ」


「あ、はい」



店長は柔らかい笑顔を浮かべると人混みの中へと消えて行った。残された私は、しばらくその場で立ち尽くす。



「………」



鎖骨下まで伸びた髪。今までは男装ということもあったし、何よりこの世界で海賊として生きる覚悟みたいな感じで髪を短くしていた。


あるかどうかも分からない覚悟が薄れてきてしまっているのだろうか。だとしたら……。



「切らなくちゃ」



こんなに、ずるずる髪なん伸ばしていたら、あの世界にいた時の弱い自分に戻ってしまう。私は一刻も早く髪を切らなくてはと思い、焦った。



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