04
拝啓、ななちゃん。もうご存知かもしれませんが、私はモビーを飛び出しました。あの日、話した“時”がきたんだと思います。……これも言い訳だと言うんでしょう?
神は何故、私を白ひげのところへとトリップさせたのでしょう。どうせだったら始めから鰐さんのところへトリップさせてくれれば良かったのに。
ななちゃん、私は間違っていますか?
PS.こちらは今日も暑いです。
堅苦しいチョッキとネクタイを装着して向かう先はカジノ。
今日はカジノのお手伝いを頼まれていた。正装は必須だ。
「あぁ!風さん、来てくださったんですね」
「あ、副支店長。今日は、よろしくお願いしまーす」
体調は、すこぶる宜しくないが、まぁ仕方がない。これも仕事だ。
「いやー、風さんが居ていただけると安心です」
「あははっ、クロコダイルの店で暴れる馬鹿はいませんよ」
カジノでの私の仕事はガードマン。店内を、うろちょろしているだけ。
だが、しかし今日は店の隅っこのソファーで寛いでいた。
これは本格的にヤバイな。あー、だるい。お腹痛い。生理だ。確実に生理だ。そーいえば、あれから一ヶ月だ。薬はない。どうしよう。
「風さん?顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」
暫くして、ドリンク片手に副支店長さんが来た。有り難く受け取る。
「まぁ、大丈夫です」
「そうですか。無理はなさらないで下さい」
副支店長さん、あんた良い人だ。こんなところで働いているのは、もったいない。
「あ、風さん。お耳に入れたいことが」
「はい」
「どうやら海賊が今この町に居るようで」
「名前と賞金額は?」
「すみません、詳細は不明なんです。しかし風さんなら大丈夫ですよ」
なんの根拠に基づいた笑顔ですか?
すこぶる体調の悪い今日。海賊なんて来るなと心の底から願ったのに、そんな上手く行く世の中ではないんだよ。
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