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03



そこの国では珍しい雷雨。酒場の店主も今夜は客が来ないだろうと店じまいにしようかと新聞を畳み、腰を上げた時、扉がカランコロンと鳴った。



「あぁ、お客さん。すみません。今夜は店じまいに……!」



言葉を遮るように落ちた雷。耳をつんざくような雷鳴と視界を白に染める光に店主は思わず身を竦めた。



「……すまない。何処の宿も閉まっていて行く場所がないんだ」



マントで身を包んだ人物から発せられる声は思っていたよりも高い。


ちらりと外を見れば確かに止まなそうな雨。他より店じまいが遅れてしまったことに後悔しつつ、仕方がないとカウンターに通した。



「何にします?」


「……一番安い酒を」



何だ、シケた客だなと内心悪態吐いたが次の瞬間、驚愕した。



「あんた女か!?」


「へ、あぁ、はい、そっすけど」


「びしょびしょじゃないか!今タオル持ってくるから待ってなさい!」


「あ、どうも」



店主は、慌ててタオルを持ってきた。


嵐の夜、独りの女が砂の国、アラバスタに入国した。



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