07
甲板にブラシをかけながら、やはり気になってしまう私は、チラリと少年の方に視線を向けた。
流れ落ちる汗が煩わしくて仕方がない。
「お、目ぇ覚めたみてぇじゃん」
がくっと首が埋まる。レッドが肘を私の頭に乗せてきたから。
「私は肘置きじゃねぇ」
「え、あ、わりっ」
今気づいたみたいなマヌケ面を睨み、肘を払い除けて少年を見る。
確かに少年は目を覚ましていた。
「早速、サッチ隊長が絡みに行ってるし」
イエローがブラシを振り回しながら近付いて来た。
「そりゃそうでしょ。実力ならfirst nameより上かもね」
「うっ」
綺麗好きのグリーンはブラシの手を休めずに言った。
否定できないだけ、胸にぐっとくる。
確かにあの実力は隊長たちも興味津々だろう。なんたって10代で七武海に誘われるぐらいだ。
「あ、また悔しいって顔してんぞ」
「いひゃい、はなゃひて」
ほっぺをイエローに引っ張られる。最近のイエローのお気に入りは頬らしい。この前まで二の腕だった。
「強さを求めるのに貪欲なのは良いが間違っても、あのガキと殺り合おうとか考えんなよ」
「大丈夫レッド、それはない」
それはない、たぶん。少年が何かをしでかさないかぎり、ね。
「ねぇ、君たち……」
げ、やば。
背後から聞こえてくる妙に機嫌の良い声に私たち三人は固まる。
『は、はい……』
ギギギギって音がしそうなぐらいゆっくり振り返れば素敵な笑顔のグリーンがいらっしゃいました。
「掃除、しよっか」
『はい!すぐにっ!』
怒らしたグリーンは、超怖い。
その後、私たちは日が暮れるまで甲板をピカピカに磨いた。
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