06
甲板に転がっている少年。未だ意識は無く気を失ったままだ。
「こいつ死んでねーのか?」
少年の前でしゃがみ込み、顔を覗き込みながらツンツンするイエローを「やめろ」とグリーンが足蹴にする。
「で、first name。お前は、このガキをどうしたかったんだ?」
煙草ふかしながら聞いてきたレッドの言葉をスルーし踵を返した。向かう先は白ひげのところ。
「白ひげ……」
「あぁ、first nameか。あのガキは目ぇ覚めたかぁ?」
「まだですよ。白ひげにやられて、そう簡単に目ぇ覚ましたらそれこそ化け物じゃないですか」
わざとらしく溜め息を吐けばグラグラ笑われた。
「そう言う、てめぇこそさっきはなかなかの見物だったなぁ」
「……」
少年が気を失った後、もちろん仲間が黙っているはずもなく彼らは少年を取り戻そうと立ち向かってきた。
その無謀な心意気は称えるが浅はか過ぎると私は思った。
「おい、first name待てよ!」
イエローに止められるが私は聞く耳持たず誰よりも先に船を飛び降りた。
「これ以上の戦いに意味はない」
手のひらで巻き上がる竜巻。地上に解き放てば少年の仲間たちは渦の中へと取り込まれていった。
そして私は彼らをモビーの上に落とした。
「殺さないでくれてありがとうございます」
「グララララ、礼なんか言われることじゃねぇ。俺が気に入ったから生かしたまでだ」
偉大だ。白ひげには敵わない。
「first name、お前が面倒みるかぁ?」
「え、それは遠慮しておく」
そんな面倒は嫌。
少年、ポートガス・D・エースが白ひげの船に乗った日。その日、風は無かった。
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