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02



予想通りの展開というか、何というか……。


甲板で豪快に座っている白ひげの足元で正座をさせられている私とレッド。


マルコが腕組みしながら仁王立ちしている。



「おめぇら、鍛えんのは良いが怪我すんなって言ったこと忘れたのかい?」


『……いえ、覚えております』



しょぼんと肩を竦めながら重なる声。先ほどから、ずっとこんな調子だ。



「はぁ、first name。おめぇは、もっと自分を大事にしろ」


「……はい」


「グラララララッ」


「笑いごとじゃないよい。親父」



空に向けて笑う白ひげにマルコが溜め息を吐く。



「マルコおめぇ、まるでfirst nameの父親だなぁ」


「なっ!」



あー、それ私も思った。なんか最近お父さんポジションだよね、ほんと。



「で、どういう状況だったんだよい」



マルコが咳払いし、私の肩から腕に巻かれた包帯を痛々しげに見つめて言った。


こんな顔されたら何だか居心地悪い。



「first nameが余所見したんすよ」


「戦い中に余所見はいけねぇなぁ」



はい、パパ。ごめんなさい。



「だってポートガス・D・エースって……」


「あ?ポートガスって、今ジンベエとやり合ってる奴のことかい?」



首を傾げたマルコの言葉に今まで俯いていた顔をバッと挙げた。



「え、やり合ってんの!?」



もう!?って言葉は、どうにか飲み込んだ。



「……、船長」


「あ?」



急に白ひげのことを船長と呼んだ私に、白ひげが訝しげな顔をする。思わず酒が止まってしまうほど。



「進路を……進路をジンベエさん達の所に向けてください」



土下座までした私に皆が口を閉じる。白ひげはジッと私を見つめていた。


行かなきゃ。早く行かなきゃ。


逸る気持ちを抑えられないのは何故?



「おめぇ、ジンベエと面識あったかぁ?」


「はい、一度……」


「そうか……」



白ひげの、その何でも見抜いてしまう瞳は今何を見ているのだろう。



「グラララララ、良いじゃねぇか!マルコ、航海士に伝えてこい!」


「なっ!親父!?」


「大事な娘が土下座までしてんだ、それを聞いてやらなぁ親父じゃねぇ!」



うぅー、白ひげ。まじ心広い!



「first name、お前が何を思い何を考えてるか知らねぇが……大事なことなんだろ?」



私は堅く頷いた。


大事よりも強い好奇心。それを知ったら怒りますか?



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