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01



ななちゃんが、この世界に来る経緯を聞いた。神様が夢に出てきたらしい。そーいえば私も寝てた気がする。



「でも、何故に私を?」


「あー、それは……」


「それは?」


「first nameちゃんも前の世界にうんざりしてたと思ったから」



確かに、私はあの世界にうんざりしていた。いや、もうほとんど諦めていたというのが正しいかもしれない。



「私がトリップしたいって言った時、first nameちゃんの目がもうあの世界を映してないように見えた」


「そう……」



私たちは静かにグラスを傾けながらワイワイ騒ぐ船員たちを見つめた。


まるで私たちだけが違う空間に取り残されたようだ。



「ねぇ、first nameちゃん」


「ん、何?」


「きっと、ううん、絶体、私たちはこの世界で異質な存在」


「そーだね」


「きっと、この世界に与える影響も大きいと思う」


「……」


「傍観者になるか、はたまた……私たちが知り得ている未来を変えるか、それはfirst nameちゃん次第で私次第。私は……まだ迷ってる」


「……」


「その時が来なければ分からない」



私も分からない。どうすれば良いか、どうしたいかすら分からない。


でも、もし、誰かを護りたいと思った時、護れるように力が欲しい。



「ななちゃん」


「ん」


「私は力を欲した」


「そう……私は愛を欲した」


「あはっ、それは私も。でも……まずは力を欲したの」



ちらりとななちゃんを見る。ななちゃんは酔っ払う船員たちを見ながらケラケラ笑っていた。



「私は、ななちゃんを恨んだ」



ハッとしたように、ななちゃんは私に顔を向けた。その表情は暗く陰っている。



「でも私たちは、この世界で迷い子。迷い子にしか分からない想いがある。だから、私はななちゃんを守るよ」


「え」


「私には力がある。まだ、まだまだまだ弱いけど。強くなりたいと思う。だから私はななちゃんに何かあったら助けに行くよ」



この焦燥感を分かち合えるのはあなたしかいないから。



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