賢者の石 08 「それにね、私もハリーと同じように……あー、あまり、家の中で良い思いをしなかったしね」 「そうだったんだ」 「でもね、ハリーと私が違うところはね……」 実の親にさえ愛されていなかったところ。 あなたと違って実の親にあなたよりも、もっと残酷な現実を突き付けられていたの。ねぇ、わかる?私の歪みが。きっと分からない。ううん、絶対分からない。分かってほしくなんかない。 「First nameとハリーが違うところって何なんだい?」 中途半端に口を閉ざしてしまった私にロンが催促するkら、私は笑顔を作った。 「それはね、私は、私には親なんかいないと思っているところよ」 瞠目する一同に私はさらに笑顔を濃くする。あれ、おかしいな。笑顔ってこんなに歪んだものだっけ。 「もともと私には親という存在は無かったと思うようにしているの」 「でもそれって……」 「あはは、おかしいよね。人間、誰しも親がいるということは否定できないんだから」 戸惑うように言ったハーマイオニーの言葉を遮り笑い声をあげた。もはやホラーだ。 「ねぇ、ハリーは色んな人からお父様とお母様の話を聞くでしょう?」 ハリーは、おずおずと頷いた。 「私は誰からも聞かない。誰も私に父と母という人間がいたことを教えてくれないの」 「だったら、あなたはどうやって御両親が魔法使いだって……」 「だから、たぶんってことなわけよ」 私はおちゃらけたように言ってソファーに背を預けた。 「でもね、私、寂しくなんかないよ。可哀想な子でもない。だって、今私はホグワーツにいて、皆っていう家族がいるからね」 そうでしょハリー?って目で問いかけたら、にっこり笑ってくれた。 「もちろんさ!」 やだ、ハリー可愛い。 ←→ [戻る] |