賢者の石 02 気付けば学校が始まり二ヶ月、つまりこの世界に迷い込んで三ヶ月半が過ぎていた。 「ねぇ、First name。何を書いているの?」 「何って、レポートだけど?ハリーは終わった?」 どうやらハリーはクイディッチの練習から帰ってきたところのようだ。その証拠に疲れきっているのか目が半開きになっている。 「いや、僕もまだだけど。それは字かい?」 酷いなハリー。確かに綺麗な字とは言えないがら評価のつくレポートだ。それなりに人が読める字を書いているつもりである。 わざとらしく、落ち込んだふりして目を伏せれば案の定ハリーは慌てたように弁解した。しかし、その言葉に今度は私が慌てる番だった。 「ち、違うよFirst name!字が汚いとかじゃなくて!見たことのない字だったから……」 「え?」 見たことない?何言ってるのハリー。おかしなことを言うなハリーは。 私は、まじまじと自分の書いているレポートを眺めた。うん、間違いなくちゃんと読める日本語のレポートだ。 あれ?日本語?……にほんご!? レポートを持ち上げている腕をワナワナと震わせて勢い良くハリーの顔面すれすれにレポートを突き付けた。 「これ!何に見える!?」 「え!?えーっと……あ、暗号?」 ガーン。 え、ちょっと待てよ。てことは何だい?今まで書いたレポートはどうなるんだい?もしや0点!? 私は慌てて羊皮紙を丸めて片付けると勢い良く立ち上がった。 「ど、どこに行くの?」 「あー、ちょっと野暮用さ!」 向かうは地下牢。愛しの君がいる場所だ。 ←→ [戻る] |