賢者の石 09 「おい、ロンとハリーちょっと失礼するぜ」 ジョージ(たぶん)がコンパートメントの戸を開けた。 うわー、とうとうご対面だー。 「何だい二人共」 口をお菓子で満杯にしながら赤毛の男の子が言った。 ロンだ。 「この子コンパートメントが、どこも空いてなくて困ってるんだ、座らしてやってくれ」 私は二人に押され前へ出た。 うわーお菓子いっぱーい。 「あ、あのFirst nameです」 お菓子に気を取られながら取り合えず名前を言ってみる。 「へー君、東洋人?珍しいね、二人のところに入れてやれば良いじゃないか」 ロンは、お菓子を奪われる危機を察したに違いない。 「そう言ってくれるなロニー坊や、僕たちのところにはリーのタランチュラがいるから駄目なんだ」 「さっき危うくFirst nameを泣かしてしまうところだった」 申し訳なさそうに私の髪を撫でながらジョージが言った。 「なら仕方ない、いいかい?ハリー」 「うん、僕は全然かまわないよ」 ハリー優しいな。 ロンは蜘蛛嫌いに共感を持ったのだろう。 「じゃあな、First name」 「またな」 二人は交互に私の頭をポンポンと叩くと行ってしまった。 「あ、ありがとう!」 私はワンテンポ遅れて双子の背に向かって謝礼した。 ←→ [戻る] |