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本当の事は知っていました(銀時・企画)







 知っていました。

 ずっと、ずっと。

 知っていたんです、本当は。









「銀、さん…」






 話があります。何時もより静かな万事屋で、出来るだけ平然を装って言う。銀さんは何かを感じたのかそうでないのか、分かった、と言って寝転んでいたソファから起き上がり、僕の方へ向き直った。




 銀さんの目がまっすぐ僕を捕らえる。




(あぁ…)





 僕はその目に恋したんだ。


 出会った時からずっと、ずっと想っていた。今から告げる言葉は、この想いとは真逆にある言葉だけど。





「銀さん、別れましょう」






 見てしまった。貴方が、他の女の人と、抱き合っているところを。




 出来るだけ、声が震えないようにした。

 精一杯、涙が出ないようにした。

 泣いてはだめだ。

 僕の、残された少しの意地。

 悲しい顔なんて、してやるもんか。







「そっか…」







 銀さんは言い訳をするでもなく、否定も肯定もなく、ただ、受け入れた。

 僕はそれが切なくて悲しくて。

 悔しかった。






(やっぱり、そうなんだ…)







 本当は、付き合った時から、ずっとずっと感じていた。銀さんは、僕の事を好きなんかじゃない。

 銀さんは優しいから、全部、受け入れる。僕が、銀さんを好きだと言った時、この人はそれを受け入れて、僕らの関係は始まった。それは、その他大勢の女の人と同じ。銀さんは拒みもしない、かといって引き止めたりも決してしない。








「…新八が、良いなら良いよ」









 ほら、なんて、ズルい人。


 良いわけなんて、無いって知ってるくせに。僕は、本当に銀さんの事が好きで、好きで、堪らなくて。


 本当は、まだ少し期待していた。違うんだって言い訳してくれる事を、嫌だって否定してくれる事を。

 だけど貴方は受け入れる。僕の期待なんて、簡単に消されてしまう。









「…さようなら」








 最後にニコリ。
 笑顔で言ってやった。




 パシャリ、玄関を閉めると、涙が溢れて、息苦しくて、歩く事が出来なくなってしゃがみこんだ。





「………ッく…ふ…」







 銀さん。僕は、本当に貴方が好きだったんだ。貴方に好きになってもらいたかったんだ。ずっと、一緒にいたかったんだ。







 だけど本当は、



本当の事は知っていました






 貴方が誰かに恋をする事などけして無いと。










────────





『恋の終わり』企画様に
参加させて頂きました!


新ちゃんの報われない恋の終わり。

というより、銀さんのイメージがおかしい←

やっぱり小桃がイメージする恋の終わりは、悲しくて、切ない感じです。



ありがとうございました^^




20100206/小桃

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