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白昼夢
2
「悪いけど、俺はあまり感情を表に出すのが苦手だから」
「うん、知ってる。」
それでも、俺が驚くところが見たかったのだろう。この場所では俺と話すことぐらいしか楽しいことはないと、前に言っていた。
「24時間が長すぎるからいけないんだよ。僕は透夜と話せる時間がもっと欲しい」
「俺が死にかけて昏睡状態になったら多分いけるだろうな」
前はそうだったからずっと話していられた。でも今雪月と話せるのはせいぜい2、3時間。浅い睡眠以外では夢を見られなくなった。
「それは、透夜の身ために我慢してあげるよ」
「ありがたいが、正直俺はずっと寝ていたい」
雪月の顔がぱっと明るくなる。
「じゃあずっと寝ようよ!そしたら現実なんて見なくていいじゃん」
とても理想的だが、そうはいかないのが現実。また起きて朝を迎えるという機能がこの体には備わっている。
「本当に、そうだといいんだが」
現実であまり上手く生きられない俺にとって、雪月の案は喉から手が出るほど欲しいものだった。



夢が終わり、朝が来た。差し込んだ日差しが俺を憂鬱な気分にしてくれる。また短時間で終わってしまった。俺が雪月と会うまであと20時間待たなければいけない。
雪月とは現実では絶対に会えない。夢だけにしか、雪月は俺の前に現れてはくれなかった。

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