ボカロ
雨の日には君と…
「………ー」
その日は雨だった。ただ傘もささずに歩いてる僕に近くから声が聞こえた気がする
「…だから傘持ってけって言ったろ?」
「…アカイト…」
聞き覚えのある声は優しくて、直ぐに相手が誰だか分かる
「お前…傘も持たないで出掛けたから、迎えに来た。帰るぞ?」
「…ごめん、その…ありがと…」
然り気無く謝りがてらお礼を言えば、傘の中に入った
「…寒くないか?」
「ううん、大丈夫。…雨強くなってきた…」
歩きながら空を見つめた。灰色の空から大粒の雨が傘の上へと落ちてくる
「だな。この後から、もっと荒れるみたいだぞ。小降りの内に見つけて良かった」
クスクス笑いながら相手の方を見つめる…
(今なら、手繋いでも良いのかな?人も居ないし手ぐらいなら…ー)
ギュッと手を繋いでみたら、ビクッとしてる
「クス、迎えに来てくれたそのお礼…嫌だった?」
「いゃ…その」
「…その?」
クスっと微笑み首を傾げて相手の顔を見つめる
「…な、なんでもねー!!ほら、早く帰ろーぜ?///」
視線をそっと反らしてからグイッと手を引っ張ってブツブツ言いながら少し先を歩き出す…そう、これは彼なりの照れ隠しだ。きっと顔、真っ赤なんだろうなー?現に自分も真っ赤だろうし…でも、それが堪らなく嬉しくて仕方がなかった
また、雨の日にこうしてみたいな…今よりももっともっと近くに居れますように、なんてね
end
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