黒猫は月を見る
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「ふあーっ、よく寝たー」
(ミャア、ミャア)
「………子猫の鳴き声?」
目を覚ました俺の耳に子猫の助けを求める声が届く、上のほうを見ると
黒い子猫が、降りられなくて動けない様子だった。
「今、行くからな!」
子猫のいる枝へ登り
優しく声をかける
「ほら、もう安心だから、こっちへおいで」
そっと、手を伸ばす。
「シャーアー!!」
突然、忍び寄った人間に驚いたのか、毛を逆立て子猫は威嚇をした。
そうやって、数分後、ようやく子猫は信用してきたのか、手の方へ近づいてきてくれた。俺はそのまま子猫を抱き抱えて体勢を変えた瞬間、バランスが崩れてドっと俺の身体は落下していった。
「やべー!!」
子猫だけでも、ギュッと目を瞑り子猫の衝撃を和らげるように胸の深くへ抱きしめる。色々覚悟したんだけど
「…………あれ?」
おそるおそる目を開ける、痛くねーし、俺何ともない、子猫も無事だ…なんで?
お尻のしたから、うめき声が聞こえる、ハッとした俺はその存在を確かめて一気に血の気が引いていく。おちつけ俺、大丈夫、誰にも見られてないんだし、なかったことにすれば解決する。
「この人どうしたんだろうね?こんな所でお昼寝かな、どうぞごゆっくり!」
この現状から逃げ出すようにこの場から、俺はにゃんこを抱き抱えながら走り出した。
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