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Long
愛する罪には愛されない罰X sideY
到着して2、3日は休暇を取れるようにしてくれた、我等がボスのツナに感謝した。

久しぶりに帰ってきた、並盛の空は変わって居なかった。
変わったのは自分だけの気がした。

町中をぶらついていると、並中の制服が隣をすれ違う。目で追いながらたどり着いた場所は、やはり並中で。

早いようで、長い8年の月日を思い描く。

『ここから全部はじまったのな…』
校庭からは、部活中なのか、生徒達の掛け声が聴こえる。
自分もあの中に居た。
いつも騒がしい日常で。
ツナが居て
小僧が居て
…アイツが居て


『…そういや、アイツんち、まだあんのかな?』
そのまま校門に背を向けると、通いなれた獄寺宅へ向かった。

何度となく通った、帰り道。他愛もない事ばかり話して、下んない事で言い合いして、対した事ない事で喧嘩して…。

『…着いた』
見上げれば変わりの無いマンション。イタリアに渡るまで住んで居た家。
流石に、もうセキュリティのための暗証番号だって、変わってしまっただろうし、部屋の前まで行くことは出来ないけれど。
『懐かしいよな』
口では煩がられながらも、側に居れた頃が、遠く思えた。ほんの1ヵ月くらい前のことなのに…。


するとポケットの中で携帯が、着信を知らせる。
『ツナか?』
「山本、休めてる?」
『あぁ。サンキューな』
「最近、仕事任せきりだったしね。並盛まで任せてごめん」
申し訳なさそうに呟くツナは、多分電話越しに頭を下げてる事だろう。

『気にするなよ』
「頼めるの、山本しか居なくて。雲雀さんともなんとかしてくれそうだし」
ため息をつきながら話をするアイツは、また心労がすごいんだろう。

『お前こそ、休めてんのか?』
「充分とは言いがたいけどね。デスクワークはほとんど、獄寺くんが…」
言いかけて言葉につまる。
『…アイツ元気?』
「…うん。相変わらずバタバタしてるけど。変わり…ないかな?」
その言葉にホッとする。
『頼むな。目離すと無茶するし』
「分かってる。…山本」
『ん?』
「ごめん…」
謝る、ツナの意図が見えない。
「ホントは、側居たかったんじゃない?」
『昔じゃねーし。それに俺らは…』
「…でもさ」
心配そうに呟いては黙る親友に、苦笑が漏れる。
『気にするなよ。俺達の問題だし。俺が…アイツのこと分かってやれなかったんだ。俺、好き勝手やってたし』

アイツの気持ちなんか、いつも省みなくて。忙しさにかまけて、話も聞かねぇで。実際甘えてた。宥めすかせばなんとかなるって思ってた。浮気と取られかねないことだってした。アイツは怒っても、最後には許してくれた。
『仕方ないんだよ。俺が悪かったんだし』
「…山本」
『頼むな。ホント』
「…了解。そっち頼むね」
『おう』
そういうと静かに電話を切る。


もう一度部屋を見上げると、自宅に向けて歩き始める。久々に今日は親父の寿司だ。

久々にのんびり過ごせる、時間が訪れそうだった。


ツナからの、あの電話が有るまでは…。


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あきゅろす。
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