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Long
愛する罪には愛されない罰V sideY
「なに湿気た顔してやがる」
『…スクアーロか』
スクアーロは鼻で笑いながら、隣の席に座る。
「聞いたぜぇ。とうとうやらかしたか」
高らかに笑うコイツを横目に、ため息をつく。

「大方、オレの所為とかになってんのかぁ?」
『…知ってたのかよ』
「だから、お前等はガキ揃いだっていってんだろぉが」
スクアーロは俺と同じ酒を頼む。
そりゃそうだ。酒を初めに享受されたのもコイツだ。たまたま、気に入ったのがそれだったんだが。

「オレの真似ばっかりだからな、お前は」
『…ちげぇよ』
「否定できるか?まんまと、オレが敷いたレールに乗っかった、お前が。爆弾小僧は、シャマルに系統しっぱなしだしなぁ」
面白そうに高笑いを繰り返す眼前の人物に、言葉が出なかった。

今更言うつもりもないが、獄寺の、シャマル崇拝は正直嫉妬の対象だった。アイツは認めないだろうが、ツナを慕う以上に、尊敬の念が見られた。

「んで?」
『…なんだよ』
疑問形で言葉を途切れさせる、スクアーロに多少苛立ちを隠せない。
「お前のお得意の、悪足掻きはしなかったのかぁ?」
『出来るかよ』
「格好つけんのは、あっちの専売特許かとおもったがなぁっ」
したくても出来なかった。
あんな表情されたら。

どんなに真剣に考えたのか?どれくらい悩んだのか?

『そういう、そっちはどうなんだよ』
「…人のなんか、参考になんねぇぞぉ」
そう言いながら、遠い目をするアイツは、正直綺麗だ。
同じようなポジションにいるであろう、獄寺や雲雀に比べリゃ、だいぶ男っぽい部類だし。顔立ちから言えばディーノさんの方が女顔だ。
「オレ達は目的が同じ以外は、お互い干渉しないしな」
今や、その目的すら、意味を変えてしまったのに。

『オレ達より長いだろ、あんた達の付き合いは?』
「なげぇぞぉ。気が狂いそうになるくらいにな」
なんもかんも、いい思い出と言いたいわけか。
正直そこまでの心構えは、俺には無い。

覚悟の差か?

「まぁ、今日は慰め代わりに奢ってやるかぁ」
『…何いってんだよ、オレより懐あったかい癖に』
「冗談言ってんじゃねぇ、お前等とは任務の質が、ちげぇんだよ」

正直、冗談でも言ってないと気が滅入る。

あの日の朝、一緒に住んでた家から出て、本部に行ってからはずっと本部詰めだった。

今更帰る訳にも行かない。
帰る場所で無くなったあの場所に、アイツは一人なのか。
オレみたいに帰る気にもなれず、本部に居るのか?

それくらいも、分からなくなるくらい離れていた。

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あきゅろす。
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