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Long
愛する罪には愛されない罰U sideY
始め、アイツが言っていることが、理解できなかった。

『え…と…』
「なに間抜けな面してんだよ」
口でそう言いながらも、アイツの表情は柔らかくて。
「オマエはさ、他に気がいくと、そっちばっかになんじゃん。だったらさ…」
一瞬、アイツがさっき言ったのが嘘なんじゃないかと思ったのに。
『マジで言ってんの?』
「冗談でこんなこと言うかよ」
そう言いながら微笑むヤツは、見たこと無いくらい綺麗で。

「最近の朝帰りだって…。スクアーロだろ?」
『や、それは』
「わかってる」
アイツはタバコを手に取ると、新しい1本に、また火を着ける。
「そういうんじゃないんだろ」
『んじゃ、なんで?』
「オマエはなんだかんだ言って、スクアーロの後ろ追っかけてるだろ?ヤツもそう仕掛けてる」
『…』
「それでいいんじゃねぇの?目標がそこにあるなら、他のものは邪魔だろ?」
『…獄寺』
「野球辞めたのだって、アイツのだろ?そこまでさせんのが、アイツにはあんだよ」
そう言って目を伏せる。静かに話すアイツに、俺は何も言えなかった。
「いい機会だろ。俺逹もだいぶ腐れ縁だし」
『…』
「ここらで、ケジメ着けようぜ」

アイツなりの考えなんだと思った。
何回も喧嘩だってした。
何回も別れ話も出た。

その時はアイツがキレて、俺が宥めてで終わった。

今回はそれがない。


それがアイツなりの本気を表しているんだと思った。

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あきゅろす。
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