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Long
愛する罪には愛されない罰[ sideY
家へ帰って来たのは、かれこれ、3ヵ月振りになる。握りしめていた合鍵を鍵穴に挿す瞬間、何故か緊張している自分に苦笑が漏れる。
その後、アイツが着けたセキュリティもパスする。変わっていないか心配だったが、変わっていなかった。
2人の誕生日を足した数。
ソレがパスワード。
変えて無いって事は、俺はまだ、諦めちゃいけないってこと。


ドアを開ければ、俺が居た頃と何一つ変わっていないように思えた。俺が使ってた物もそこかしこに有って、何一つ変わらない部屋で、アイツはどんな気持ちで暮らして居たんだろう…。

リビングで、留守電のランプが点滅している。胸騒ぎがして、再生ボタンを押す手が震える。
押した瞬間聞こえて来たのは、一番聞きたいアイツの声だった。


山本?
お前が聞いてるなら、俺はヘマしたって事だな。後始末頼んで悪い。悪いついでにさ…。十代目にデータ渡って欲しい。寝室のパソコン、わかるよな。あれに全部入ってる。あれ渡して。

…俺がヘマしたってことは、アイツら叩く理由が出来た。ボンゴレ護んなきゃな。

山本。聞いてる?もう時間無い。十代目頼んだぞ。


矢つぎ早に話す口調は相変わらずで、でも懐かしくて。呼吸1つも聞き漏らしたく無かった。
その後、間が空いた後に入ってた言葉にも、もう涙は出なかった。


後はツナに報告して、会議で正式に動けるようにしてもらうだけ。

寝室にパソコンを取りに行く。データの中身も確認する。短時間で調べたんだろうが、相当な情報が入ってた。
流石としか、言いようがない。冷静で、分析力がずば抜けてる。

自分じゃないのに、誇らしいと思えて、笑いが込み上げる。


明日は、アイツが選んだスーツで本部に行こう。アイツ探しに行くときは、任務で壊したくないって言って、着けなかった、アイツからもらった時計していこう。
アイツから、貰った物は沢山有って。でも、大切な時にしか使わないって決めて。でも、今使わないと、ダメな気がした。



大丈夫。絶対見つける。

どんな結末でも、どんな姿でも、見つけてみせる。

絶対、ここに連れて帰る。
絶対、俺のとこに、取り戻す。

もう離さないから。一人にしないから。


大丈夫。もう少しだけ待ってて。

迎えに行くから。


最後に伝えてくれた、大事な言葉、返しに行くから。


「それから

…今まで、サンキュ。

絶対後追ったりすんなよ。したら追い返してやる。


…ti amo takeshi」


留守電に入ってた。最後の言葉。
獄寺の本当に伝えたかった、言葉。

例え本当に、最後の言葉になってしまったとしても…。

絶対、俺の言葉も伝えるから…。

だから、待っていて。


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