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Long
愛する罪には愛されない罰Z sideY
本部に戻れば、すでに他の面子も揃っていた。並の緊急じゃないことは、ヴァリアーも揃って居ることで察知出来る。
スクアーロとは目だけで、挨拶を交わし、向かい側へ座る。
『ツナは?』
「獄寺氏の部下と連絡中です」
隣のランボが答える。
『いつからだ?』
「かれこれ、任務出てから1週間経ちますね。完璧に消息不明になってから3日経ちます」
ランボがそう続けると、楽しそうにベルが笑い声を立てる。
「そんな大事なら、目はなさなきゃ良かったのにさ」
口調や態度に苛つくが、言い返せない。
「もうダメかもね。ししっ。部下も5人中、連絡とれるやつ1人だけだし。後は始末されたって」
「情報は正しく伝えろ。正確には4名の死亡確認済み。1名が、さっき意識が戻ったばかりだ」
『…小僧』
小僧の後にツナが続いて部屋に入って来る。席に着くと神妙な顔つきで話始める。
「みんなも知っての通り、獄寺君の消息が掴めない。今回の任務に関しては、本来は同盟ファミリーの締結だった」
…だった?
「僕の情報だと、獄寺隼人の家が離散したのに関わったファミリーかも知れないって、聞いたけど」
「あくまで推測だがな」
雲雀の言葉に、小僧が答える。
「ただ、あくまで噂で、今回は締結が任務。それを別の事に使おうとしてたなら、ヤツのスタンドプレイだ」
確かに。小僧の言う通りで、噂だけで動いたなら。幹部と言えども、…処分対象。または、生死不問。
ただ、今のアイツがそんな無謀な賭けをするようには思えなかった。
何か情報を入手して、それを確かめるために…。

「今日は現状報告まで。何らかの状態入手後、再度会議にて、今度の行動を決めたいと思う。今日は解散してください」


ツナの言葉にみんなが立ち上がる中、俺は動けなかった。
「山本…」
声の方向を向いて、初めてツナが隣に座っていたことに気付いた。
「山本、何か聞いてない?」
静かに俺が首を振ると、表情を曇らせる。
「本当は、直ぐにでも捜索チーム作りたいんだけど、今のままじゃ、動かせないんだ」
『わかってる』
「もしかしたら、獄寺君の家に何か無いかなと思って…」
『これから行ってみる…』
返しそびれた合鍵を手の中で転がす。
正直、2人で居た部屋に入るのはまだ辛かったが、何か情報がない限り、本来、俺すら動けない。
『ツナ…』
「何?」
『もし…、もし。情報掴めなかったら。俺を即日、除名処分にしてほしい』
「山本…」
『アイツ探してやりたいんだ。…どんな結果だとしても。スタンドプレイだって言われても』
生きていて欲しい。でも、最悪の結末は想定できる。その場合でも…。
『会いたい…』
「山本。我慢しなくていいよ」
今の俺は、だいぶ情けない顔をしてるんだろう。ツナは優しく笑ってくれた。

『どんな姿でもいいから、会いたい。…マジで会いたい。俺、アイツに謝ってない。なんも俺ん中じゃ終われてない。やっぱりさ…』

アイツの言葉で終わったと思い込もうってしただけで…。

『ダメだ。やっぱり無理。忘れらんない。俺、アイツ…好きなんだ。まだ、好きなんだ。諦められる訳無いのに、アイツから言われたことで、アイツのせいにしたけど…。無理、アイツ居ない世界なんて、意味ねーもん』
「…山本、…俺しか居ないから」
『…サンキュ』
それからは、涙が止まらなかった。堰をきったように溢れた。

アイツが、ツナを護るから、俺はアイツを護ってやるはずだった。…そう言ったはずなのに、護れなかった。
『俺…約束一つも守れてねぇ。アイツ一生護るって言ったのも、ずっと一人にしねぇって言ったのも。…ひでぇよな。本当一つも守れてねぇの。アイツが、別れ話出したの分かるよ』
「山本。きっと獄寺君は、山本の事嫌いになんかなってないよ」

え?

「山本の並盛任務。獄寺君の推薦でね。山本にしか出来ないって。部下に一番信頼されてないと、新規任務は無理だって。それと…」

日本に帰したいって。

俺は、ひどく驚いた顔をしてたに違いない。ツナは優しく笑って続ける。
「獄寺君、最後まで山本がイタリアくるのも、マフィアになるのも、反対してたんだよ。リボーンとも、スクアーロとも対立してまで」
それは、雲雀からも聞いた。

「口では、一般人巻き込むなとか言ってたけど、本当は危ない目に合わせたくなかったんだよ。力も認めてたし、必要なのも分かってて。それでも、自分と別れてでも…」

…そうだ。初めて別れ話出たのはその時で。でも宥めて、一緒にイタリア渡って、一緒に住んで…。
…なんで忘れてたかな、俺。

「今回の任務出る前も、山本の話してたよ。山本からも、獄寺君からも別れたのは聞いてたけど、…獄寺君も、山本と同じ気持ちだったと思う。多分、今もね」

…会いたい。今すぐでも探しに行きたい。

「だからさ、2人の家で見つけて欲しい。多分、山本には何か残してると思うんだ」
…俺は黙ってうなづくと、立ち上がる。


涙は止まっていた。
今、アイツにしてやれることは、何らかの情報を見つけて、アイツを探し出してやること。


…隼人。会いにいくよ。
たとえ、お前が何処に居ても。どうなっていたとしても…。


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